未来都市?(2)


というわけで上海は東方明珠搭というふざけた形のテレビタワーにやってきた俺はいよいよ中に潜入してみる事にした!



この搭には串に刺さった団子のような、展望台のある3つの珠があり、これのどこまで登ってくかでチケット代が変わる。当然最上階が一番高い…のだが、ガイドブックに最上階は逆に高すぎて見晴らしがイマイチ…と書いてあったので二番目の高さの所まで登れるチケットを購入。
高速エレベーターでそこまでいき、束の間上海の街を一望。確かに高い!見晴らしがいい!だが俺の感動はその二つの感想で終わってしまった…。登るまではワクワクするが、登ってしまえば展望台から見える景色などそう長くは見ないもんである。



そんなことより俺の心は最上階はどうなっているんだろう?という想像に支配されていた!いや、最上階なんてここよりほんの少し高さが上なだけだろう?でも俺の持っているチケットではそこには行けない…行けないとわかると急に気になるものである。たかが数百円ケチッたばかりに、俺は二度とここを訪れないかもしれないのに、『あの時最上階まで登っておけばよかったなあ…』なんてこれからグチんなきゃいけないのか?と考えると、ぬああ…!と苦悩しだした。
「あの子の事が気になってるけど声もかけないで別れてしまうくらいなら、ダメ元でも勝算がなくてもメガンテして思い残す事のないように行く!」好きな子にはいつもそう接してきた俺が!
ちょっと気になるけどまあ別にいいか(次でもいっか)は、旅行だとなんだかんだで悔いが残るから厳禁なんだったんだよなぁ…。





しょがねーから帰るか…と思ったらガラスの床を歩いてはるか下の景色を見ながら歩ける場所を発見(東京タワーにもこんなんあるよな)。



左の黒いのが俺の足。こういう場所を恐る恐る歩いてみた。俺は高所恐怖症で高いところにいくと自然に腰が引けて下に吸い込まれそうな錯覚を覚えるのだが、今回はそれ以上に床のガラスが『本当に信頼できんのかよ…?』という気持ちでいっぱいだ。
手抜き工事とかねえだろうな(泣)俺の歩いているとこのガラスだけすぽっと抜けて落ちたらどうしよう…。とか思うとマジで足がふわふわした感覚になった。


「写真撮らないですカー?」割と安く写真を数枚撮ってくれるカメラ屋がいたので、一人だしせっかくだから撮ってもらう事にした。
「ハイそこで立って!」パシャ! 「片足あげてみようか!」 『ポーズつけんの?恥ずかしいなあ…』パシャ! 「ねっころがって」 『…え?ここに…?仕方ないなあ…』パシャ!パシャ! 「よーしねっころがりながら脚と手を開いてみよう!!」 パシャ!パシャ! 『………ま、まかせろーい!』 「最後はさらにその脚を高く上げて、笑顔で!!」 『キレイに撮ってくれよおおお。バッチこいやああ!!』パシャ!パシャ!パシャ!
カメラを向けられて陶酔しながらポーズをとるコスプレイヤーの気持ちが少しだけ理解できた気がした。(↑のねっころがってピースしてる人は俺と同じようにカメラマンにうまくのせられている人)
そんで写真をプリントしてもらって、すぐそばのみやげ物売り場で搭の名前の入ったガラスの写真立てに撮った写真を入れてもらう俺。うおお…なんちゅうおのぼりさんコース……!


                      ※


そんなわけでガラス床と撮影はまあまあ楽しめたが、全体的にすごく楽しめたかというとそこまででもない。特に展望台の景色は本当に心を動かされなかったのである。
やっぱり人との触れ合いを求めているんだろうか…?思えば上海に来てからというもの、言葉の通じなさにはまいった。言葉が通じないってより、英語が全く通じなくて。俺は中国語は全然喋れないし、正直もう少し英語が通じると思っていたのである。
旅行は景色だけみてああ楽しい、ではないはずだ。そこに暮らす人に時には仲良くしてもらったり、時には騙されたり、バトったり…そんな体験の積み重ねも『色々あって楽しい旅行だった』を作ってゆく。俺が中国語を全然勉強してこなかったせいではあるが、恐らくそんな触れ合い(って書くと恥ずかしいが)が物足りないんだろうなあと自問自答した。
そんな事を搭からホテルに帰って考えた俺は、PCをネットに繋ぎある場所に行こうと考えた。


(続く)