聖地巡礼・2

まあ俺もアニメ好きって言ってても、ゲームで言うところのライトゲーマー的な?『ちょっと好き』くらいのモンだと思ってたんですけどね、ついにやっちまいましたよ…w


今ハマって見てる『あの日みた花の名前を僕達はまだ知らない。』
これ、秩父がモチーフ?舞台になっているらしい。アニメの舞台となった実際の街とは…?いてもたってもいられなくなった俺は、片道ン時間かけて秩父へ出発したw(↑のポスターは西部秩父駅に張り出されていたポスター。街の色々な所にポスターは張られていた)



電車が秩父に近づくにつれてぐんぐん増える山と自然の量。着いた秩父は千葉とかその辺に近い感じ。初めてきたな…。主要道路の両脇にはお土産屋や地産の商店が軒を並べていて、かなり観光業に力を入れている感じ。が、店の数は多いものの街の中はしんと静まり返った雰囲気を出しており、やや閑散としたムードが…。



一枚目のポスターの画像と比較してほしいw荒川にかかる秩父橋だ。この橋は作中によく出てくる。俺の他に巡礼者がいるかと思ったけど、この時は小雨が降っていたせいか俺一人だけ。



で、この橋を見た後は、作中に出てくる『かきたま入り塩ラーメン』を食べる事ができるという店に行く事にしたんだわ。和銅黒谷駅から徒歩20分。まめちゃん屋という店名の小さな焼き鳥屋に入ると、髭を蓄えた小柄な店主と地元のお客さんが一人(開店間もない時間だったので)。



メニュー、店内共に『あのはな』一色。
「さっき電話で道尋ねてくれた方?あのはなを見て来てくれたんですよね?」
『あ、そうっす…』
「ちょっと待っててね…今この新聞のスキャンが終わるまで…」
『なんなんですかその新聞?』
というと店主はニヤリとして、「この新聞ね、去年の9月の埼玉新聞なんですけど、ここの見出しみてください!わかります?」 新聞の1面にはコウノトリがどうたらという記事が…しかしあのはなとの関連性が全くわからん…。



「これ、この新聞!あのはな1話目のヒロインのお父さんが読んでた新聞なんですよ!ここに画像があるんで見てみてください!」
言われてみると、確かにそのシーンのお父さんが手にしている新聞にコウノトリの字が読める…が、細けえええ!w3〜4秒くらいのシーンなのに…。


『あ…なるほどぉ〜!じゃ、そろそろ注文を…』



「これ見てくださいよ!!」 『は、はぁ』
「このポッキーとえんどうスナックとポケモンね、これも作中に出てきたものなんですよ!」言われてみれば確かに一瞬そんなシーンがあったような…。




『あの、それじゃ』
「これも見てください!」 『は、はぁ』と言われて店主が指差したのは店にかかっている地底人と字の書かれた赤いTシャツ。
「これ、作中で主人公が着ていた服です!こないだ『あのはな委員会』(地元のあのはな好きの同好会みたいの?)でみんなでこの服着て羊山公園でPRしてきたんですよ!」
『すんごいこだわりですね…』





『あの、それじゃ』
「最後にこれだけ見てください!店の裏手に回って!」
『………』
と言われて店の裏手に回ると、自宅部分の玄関を通り階段を登った二階に案内される。8畳ほどの広さのその部屋には、真ん中に大きなテーブルが置かれていた。
「これ、ここの壁の白い部分にですね、プロジェクターで毎週あのはなを映してみんな(委員会)で見るんですね!」
『こっちでも人気の出てるアニメみたいですけど、地元の方の期待って本当にすごいんですね。やっぱり自分の地元がアニメの舞台になったら嬉しいですよねぇ』
「そうですね。アニメの舞台になったことで秩父が盛り上がって欲しいしね!このアニメに懸けてんスよ…」
『………』




そんなこんなでようやく店に戻れた俺は、今度は店にいた4〜50代の女性客から秩父の名所の話を聞き、店主の経歴やその女性客との関係の話まで聞かせていただく事になった。塩ラーメンまで遠いなあオイw とは思ったものの、女性客も店主の影響であのはなを見ているらしく、毎回アニメに出てくるシーンを見ては「あ、これはアソコだ!」と楽しみながら見ているらしい。


一人黙々と飲んだりする事の多い俺からすると、居酒屋に行ってこんなに人の話を聞く事もないんだが、俺達は今、あのはなというアニメ一本を共通に繋がっている。ということを強く感じた。そもそもあのはなの舞台が秩父でなかったら俺もこの店に足を運ぶ事はなかっただろうし。何か一つ、共通のものがあると人はこんなに打ち解けられるんだねえ。「…俺本当にこのアニメに懸けてるんだよ…」店主が3度目のその言葉を呟いた。


よくニュースや新聞なんかで目にする『町おこし』。その言葉は東京にいる俺からすると現実味と言うか今一つ実感の沸かない言葉で、ああそういうことをしているんだな。くらいにしか感じない言葉だ。今俺は店主の言葉を聞いて、その言葉の重みを実感していた。(ただ地元が舞台になって浮かれてアニメ好きってだけで店の中こうしてるんじゃないんだよな…)



(まめちゃん屋のやきとり。一本100円と激安。辛子味噌つけて美味しくいただく)
しばらくして女性客が帰り、あのはなファンの二人組が店にやってきた。彼等も巡礼を終えてこの店に辿り着いたのだという。で、やっぱ塩ラーメンを食べにきたらしい。とてもいい感じの人だったけど、彼等とのやり取りまで全部書くと記事が糞長くなるのでいくつかの会話を抜粋して。



(味噌ポテト。ジャガイモの天ぷらに甘い田楽みそみたいのをつけて食べる。秩父の人はこれがないとうろたえるほど地元に根付いた料理らしい。)



(巡礼者)「……でもですね今コンテンツって、次から次へと新しいのが出てきますよね?あのはなは1クール(11話。3ヶ月分くらい)だし、あっという間に古くなっちゃいますよね。そこが悩みどころっすよね〜」顔に陰りのできる店主。
(おい、やめろw店主が落ち込んでるっちゅーねん!)



(巡)「……あのはなもいいスタート切ってファンがついたわけですけど、この先どんな展開になるかわかんないっすからねぇ。欝エンドとかブーイングエンドとか、駄作になる可能性あるんすよねぇ」顔が下を向く店主。
(んなこと今言う必要がないっちゅーのw秩父の希望なんだぞっ、このアニメは!)



(巡)「……あのはなも2期!っていう風に続けばいいんですけどねぇ、そういうアニメって感じじゃないっすよね〜」はぁ、と声まで小さくなる店主。
(おま、もうやめろぉぉ!)巡礼者の口にさやえんどうスナックを10本くらいぶち込もうかと思った。




(第1話に出てくるかきたま入り塩ラーメン。原作と同じくサッポロ一番塩味で作る。めんま、ハム付。)


そんなわけで俺の巡礼は終わった。結局巡礼者の人も秩父出身で、やっぱりアニメに出てくる風景がものすごく懐かしいんだそう。秩父にいる人でこのアニメを知っている人は胸熱で毎週見てるんじゃないかな。そしてほんの1シーンの新聞に実在の新聞を持ってくる辺り、アニメスタッフからも秩父に注ぐ愛を感じることができる。
どうか駄展開とならずに最後まで名作アニメとして突っ走って欲しいし、できれば二期も…と続いて欲しい。俺も来てみて思ったが、秩父はいいとこなのでこれを起爆剤として盛り上がってほしいものだ。
最後に、色々サービスしてくれたり、あのはなを熱く語ってくれた店主に感謝してます。楽しい時間を過ごさせていただきました。これからも巡礼者が訪れ続ける店であってほしいなと思うッス!