バラナシ3・fannyの提案


ここで簡単にバラナシという街の構造を説明しておく。

ガンガーつまりガンジス河があり、その岸辺にガートと呼ばれる階段状になって沐浴できる堤がある。季節によって河の水位に変化がある為、沐浴しやすいようにこのような構造になっているのだろう。



そして各ガートには非常に狭いエリアごとにそれぞれ名前がつけられ、今自分がバラナシのどこのガートにいるのかわかりやすくなっている。
河岸に面して立っている建物は王族や寺院が使用していると言われ、大抵でかく豪奢だったり特徴ある形・色だったりしていているのだが、これが遠くからまとめて見渡した時に各ガートが極彩色となって、河岸に夢みるような、童話のような風景を形作っているのだ。






ガンガーの感慨にふける暇もなく激しい雨に悩まされていると、河岸の大きな石造りの建物の脇からインド人の若者が二人階段を降りてきて近づく。


「オーホテル探してる?いいホテルあるよ。とりあえず見るダケ見るダケ」


インド人はプージャゲストハウスという、ガンガー沿いのゲストハウスの客引きだった。おおこのでかい石造りの建物かよ!ひょっとして中も歴史のあるインド内装なイカしたGHなんじゃ…。
ところが、重厚感のある外見とは裏腹に案内された部屋は中身は殺風景で、少し湿っぽく薄暗い部屋だった。虫とか出そうだなオイ…。一応窓からはガンガーが見え、バラナシのホテルではこの河が見えることが部屋のステータスとされる…が。


「雨がひどいから一刻も早く宿で休みたいけど…VES私気になってるホテルが一つあるのよ。そこだけ見てもいいかしら?」


長い徒歩と雨に打たれて俺達は弱りきっていた。誰もが重い荷物を降ろして、シャワーを浴びて布団にねっころがりたかった。しかしホテルはいくつか見て回って居心地のよさそうなところを見つける方がいいだろう。という事でfannyが見てみたいというフレンズゲストハウスへと向かうことに。




フレンズGHは日本人宿だった。説明するまでもないが日本人宿とは日本人に理解のあるホテルで日本語が通じたり、インターネットで日本語が使えたりして日本人が多く集まる宿のことである。それにしてもfannyはなんで日本人宿なんか行きたいと思ったんだろ?

入り口の看板は思いっきり日本語で書かれていた。「当宿でのドラッグ・麻薬の使用はご遠慮ください」とか書いてある。うーむいかにもインドらしい注意書きだ…。



部屋を見せてもらったところ、プージャGHよりも清潔そうだった。俺達は部屋を見てすっかりここが気に入ってしまった。
値段は一部屋500ルピー…といわれたところをfannyが交渉して400ルピーにする。頼りになるなぁ。んじゃ部屋の割り振りはfannyとyuiの二人部屋・俺が一人部屋ってことになるな。当たり前だけど。



…のはずなんだが、そこでfannyがとんでもないことを言い出すわけだよ。このfannyさんが。









「ねえVES?どうせなら私とyuiと…あなた。三人一部屋にしてもらわない?(わなぃわなぃ)その方がいいじゃない(なぃなぃ…)」









…あんまり衝撃が走ったもんで、エコーかけてみました。こ、これは…!!
さらっとそんなことを言い放つfannyの眼が、挑発的に光った(ような気がした)。




『さ、サンp…』





4に続く。