せつないケーキ


フランスのショウウィンドウ/


昔年末にパリに行った時にブッシュドノエルという木の幹の形をしたケーキを買ったことがある。あっちではクリスマスの時期に売られるケーキ(らしい)だ。
キレイにショウウィンドウに飾られたケーキはめちゃめちゃうまそうに見えて、さすがパリ、ケーキも凝ってるぜ!と感心した。量が多いとは思ったけど、奮発して中くらいのブッシュドノエルを買って、ホテルで独り占めしようという計画を立てた。
ルンルンでホテルに帰り、箱から開ける。いっただきま〜すとフォークをつきたてほおばった。


ただ甘い…ただひたすらに甘かった…。


誕生日ケーキについてくる甘ったるい砂糖菓子のような甘さなのである。しょぼいホテルでお茶もないような状況で、そのケーキを半分も食べることはできなかった…。
後になって、外国人は味覚の感覚が日本人と全然違うから、ケーキがあんなに甘いんだという話を聞いた。そうかぁ〜そういうことならあのアホみたいに甘いケーキもわからんでもないような…あれから何回かフランスでケーキを食べる機会はあったけど、やっぱり全部甘かった。けど、どっかで、あの時食ったケーキはそんなに高級なケーキじゃなかったから、甘すぎたんだろう。パリでも値の張るケーキなら、日本人が食ってもうめー!っていうちょうどいい甘さでおいしいケーキなんだろうという想像がずっとあるんだけど、どうなんだろう。
フランスに行ったらそんな高いケーキ買ってみるくらいなら、高くておいしいご飯を食べてみたくなってしまうので、未だにその謎は解けないでいる。