転んで体に刻み込め!!(スケート2)

高校生の時、昔からのツレが何を思ったか突然スケボーを持ち歩くようになった。
道を一緒に歩いていると、脇にかかえたスケボーを地面に落としゴロゴロ…と5mくらい乗っては降りたり、スケボーの上でジャンプをして着地したりという技らしきものを落ち着きなくガチャガチャと音を鳴らしながらよくしていた。素人目にも別にうまいとは見えなかったので、軽くびびくりながらバランスを取ってスケボーに乗っているツレの体を横から棒で無双三段したい衝動に駆られつつも、「何が面白くってこんなん乗ってんだろコイツ…」と思っていた。


箱のプロフィール画面でたまにやってる人を見かけるスケート2というゲームの名前を聞いただけの第一印象は、浅田真央タンのアレだ。
ところがプレイ画面を見ると、どうやらスケボーで3Dの街を走るゲームだということで、箱庭ゲームが好きな俺も体験版を勧められてやってみることにした。細かな設定のできるキャラメイクの後、いよいよ街を滑ることに。スケボーといえば、たまに空港の待合所などで誰かが見るとはなしにテレビで流されている、Uの字になった場所で片側に乗り上げジャンプし、空中で方向転換して反対側に滑り落ち、また端に乗り上げてジャンプして…というのを2拍子の指揮のように規則的に繰り返す奴だ。あんな風にスタイリッシュにスケボーを操るイメージをローディング中に練り上げると、いよいよゲームが始まった。「ves☆スケボー伝説スタート〜♪〜チェケラッッッ!(気持ちはノリまくり)」


のろのろとスケボーを蹴り出した後、右スティックを下から上に動かしてみると、申し訳程度にジャンプをする俺。左下に技を決めた得点がでる。「お…おおっ!?」何やら高揚感が…と、思って次のジャンプを繰り出したら着地に失敗したのかド派手にすっころんだ。「な…!」
しばらくして最初の体制に戻った俺は、気を取り直して再びスケボーを走らせる…と、


「壁にはまってんじゃねーーー!Uターンしろやっ!」
「ぎゃああっ、壁に思いっきりぶつかった!」
「段差につっかけて3mくらいふっとんでんじゃねーーーー!」

次から次へとトラブルが続出なのである。



こ、転びたくない…(ガクガク)
画面の中のves☆は、失敗を必要以上に恐れて当たり障りないスピードでスケボーを走らせ、転ばないようにちょっとだけジャンプをするだけのしょぼいスケボープレイヤーだった…。あの頃のツレの姿がそこにはあった。
荒川くん、あの時の君の気持ち、いまならわかるよ…。スケボーって怖いね、むずかちいんだね…。でも技が成功するとかなり嬉しいね。

このゲームにはボタンひとつでスーパープレイができるようなことがない(たぶん)。階段の手すりにスケボーを乗せてガガガと滑り落ちる絶技も、空中で回転して無事着地することも修練が必要で、その経験があって初めてできるようになるリアルなゲームみたいだ。結構楽しいかも。中古屋探してみよっかな〜。と思った最近。いや、でもリアルでスケボーはやっぱキツそうだわ。スケート2みたいな転び方したらどっか折れそうだしね〜!