香港風料理に飽きたら…2




「私、インドで魔法をかけられちゃったんですよ」





って。前仕事で同僚だったエキゾチック系女性の毛利さん(仮名)が突然そんなことを言ったんだ。いきなりなんで魔法とか…
『……あーっ、あ、アレですか、額につける、赤い絵の具みたいなの、お呪いですか、要するに』言われてる意味はよくわからんが話を合わせてみた。毛利さんは少し含んだ微笑を浮かべると、何かを思い出すように視線を宙に上げて、俺に目を流した。少しドキリとする。


「…いえ、そうじゃなくって…もっと違う魔法です」


微笑が挑発的になって、『自分で答え出してくださいね』という目になっている。 『んん………』考えていると、「インドに行ったら、誰でもその魔法に魅了されちゃうんですよ…」毛利さんは、そういい残すと笑いながら自分の机に戻って行った。
それからだな、俺の中でインドが怪しげで神秘的な何かを持つ国に感じたのは。その魔法とやらに本当に俺もかかってしまうのか、ガンジス見たら人生観変わっちゃうのか、カレーはうまいのか、アガスティアの葉みたいけど捜しに行くのめんどいから代行業者に見つけてきてもらおうか…とか、興味はつきることがない。だからいつか俺も必ず行かなきゃいけないなって思っている。インドは。



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中華街とインド人街はどの国にもある…という話を聞いた事があるが、香港中心部のインド人街と言えば重慶大厦(チョンキンマンション)だろう。ビルの前を歩けば数人のインド人が寄ってたかって「ニセモノ時計ドウ?」「ドラッグ?コカイン?ドウナノヨ」「ゲストハウス?」…などとめっちゃしつこく声をかけてくる。
今時ニセモノブランド時計なんかを、こんな怪しいインド人に声かけられてノコノコ買うアホがいるんだろうか…もしいたとしたら銭湯でチン隠しのタオルを腰につけたまま湯船に浸かってしまう男のように世間知らずな奴だ。と疑問に思うのだが、売れる事があるから奴らも声かけてるんだろうなぁ。不思議だ。
などというようなことを一瞬考えていると件のインド人らがラッセルを組んだように4人がかりで俺を取り囲むので「いらねーよ!!」とダブルラリアットで囲みを突破。オロオロしてっとつけ上がるからな。いつか本場の物売りを振り切る為にもこんなところで苦戦しているわけにはいかない。ポン人ナメんなっ!!



重慶大厦はいくつかの棟が寄り添ってできていて、A〜E棟がある。それぞれの上の階に行くにはそれぞれの棟のエレベーターを使用しなければならない。今回紹介する【タージマハール】というカレー屋はB棟の3階にある。ここには日本からEメールで予約できる便利な安宿【ドラゴンイン】もすぐ隣にあり、俺は今回そこに宿泊していた。



広くはない店内だが中は多くの客で賑わっていた。先日紹介した総菜屋のカレーよりちょいと高めなので、インド人などはあまり客としておらず、香港に住む欧米人がよく使うといった感じ。




なんかパリパリした薄せんべいみたいのとサラダ。かわってて結構イケる。




タンドリーチキン。結構でかくて食べ応えある。ハッキリ美味い。



人気らしいエッグカレー。惣菜屋のカレーより奥の深い味がするような気がした。エッグカレーって最初、玉子入っててうめぇーなんだけど段々重くなってくるってか、チキンカレーのがよかったかな…。これもうまいけど。



インド人ってトイレの時左手使うわけじゃん?まあ終わった後洗うんだろうけどさ…料理人は左手使うのかな、使わないのかな…むっちゃ気になってきた。このおっさんが手を念入りに洗ってる姿が想像できない…ウッ!
一人2000円くらいあれば満足に食べれるかな?でもまた行きたいと思う店でした。行っとけ!(やらせるかよ!)