ペスカトーレ


ヴェネツィアに旅行に行った時、ホテル近くのレストランに入ると、極上の笑顔を浮かべた30歳くらいのウェイターが滑るようにテーブルにやってきてこう言った。




「アナタ日本人ですか?日本人!Oh!私日本好きですよ。○○、××(なんか日本人の芸能人の名前とか)!」
『…やけに日本語うまいね。あなた。ちょっとすごい』
「だって日本大好きですカラ!……○△■〜」
『おお!そんな日本語まで…いいねいいねー!』





完全に掴みはOK状態の俺は、彼の言うままに他のメニューより少し値の張るペスカトーレを注文。ややあって、ウェイターが料理の皿をテーブルに置く。ウィンクをされる。もう虜にされている状態だ。手なんか振りたくなる。



「コレ、すごく美味しいです!あなた食べられてラッキーよ!」
『おおおっ、う、うめーよこれ!いやぁーあなたみたいなウェイターさんに会えて嬉しいよ』
「フフン!ゴゆっくり、ドーゾー」




(いやぁ〜マジでラッキーだなぁ。ホントにうまいし。あのウェイターも妙に親切だったしよ〜、なんかウマが合うっつーの?…ん?)



入り口の扉のチャイムが鳴って、旅行者らしき日本人が二人入ってきた。



「Oh!アナタ日本人ですか?日本人!Oh!私日本好きですよ。○○、××(なんか日本人の芸能人の名前とか)!」

(ブッ!あ、あいつ俺に言ったのと全く同じ事言ってるじゃねーか!!バカか俺はよッ!気が合うとか?むっちゃ営業トークで気をよくしてるんじゃねーかよ!)
少しだけぺスカトーレの味が落ちた気がした…。




                  ※ ン年後… ※



ちょ、Sさん!wwツイッターでその人と喋ってる事、俺がもらったメールの内容とソックリ同じなんすけどwww え、ウソこれコピペメールとかwww俺ってどんだけ量産型なんすかwww緑ザクですいませんwwww


…自分だけが特別だって思っちゃあいけないよ!vescardッ!(泣)ペスカトーレを食べた時の事を思い出せええええ!






                        ※

ペスカトーレの作り方にも色々あるんだろうけど、俺が作ったのは魚介のダシに白ワイン、トマトソースとかのポピュラーな?ヤツ。トマトソース入れすぎるとダシの味がわかんなくなっちゃうから、結構味付け繊細だよね。本当はイカも入れたかったんだけど、そんなに色々材料買えなかったので…。
アサリなんかだと砂抜きしないとダメだけど、そもそもムール貝は砂のあるところに住んでないので砂抜きはいらないそうです。かわりにハミ出てる白い糸みたいのをピーっと取らないといけなくって、これがトドメさしてるみたいで気がひけるんだわw
どうでもいいけどペスカトーレってヴェスカードにちょっと似てない?…え、似てないっすかwすいませんw