デリー6・恋に落ちたらa

チケットを無事買い終えた俺はいよいよデリー観光にでかけることにした。ニューデリー駅からデリーの一番か二番目であろう観光地のラール・キラーというのを見に行く。



インドの歴史なんて俺全然知らないんだけど、昔ムガル帝国というのがあってその時の城らしい。城壁が赤い石でできているのでレッドフォート(赤い砦)とも呼ばれる。

正門付近に着くと横にだだっぴろい城壁が見え、この砦が広大な敷地を持っていることがわかる。門の前にも結構なスペースの広場があり、インド人や外国人など、様々な人々が吸い込まれてゆく。ちょうど東京の皇居に近いような感じ。



(ラーホール門)

正門をくぐるのにはチケットを購入する必要がある。結構長い行列ができていたのでそこに並んでたら、係のインド人に「外国人のチケットはこっちだ」というようなことを言われ、外国人窓口?でなんなくチケットを購入。250ルピーだった。

で、すぐに城内に入ってもよかったのだがチケット売り場の行列を見ていると、実に様々なインド人が並んでいるのに気がついた。



インド人の若者同士、おっさん、娘と母親、小さな子供を連れた家族、そして親類同士っぽい4〜5世帯の親と子供の家族が1グループとなった団体など。ニューデリー駅でもこういう親類同士っぽい団体は見かけた。日本だとそんなに親戚同士でつるんで一緒に行動というのは少ない気がするのだが、インド人はそういうのが好きなのだろうか?
子供同士が何人もではしゃぎまわる隅でオバサン同士は円陣を組んで座り込み雑談に華を咲かせる。彼女らの原色多めの鮮やかな衣装といくつもの金属の装飾。その光景はどこかジプシーの一座を連想させた(まあジプシーでもなんでもなくただどこか地方からデリー観光に訪れたおのぼりさんなのだろうけど)




(正門前で撮った子供たち。このあたりのインド人は身なりもメインバザール近くの貧民街よりも小奇麗だ)


俺はここでしばらく彼等の写真を撮ろうとカメラを取り出した。どこの誰を撮ってもシャッターチャンスになるような気がする。
インドに着いた日が夕方で夜はカレー食ってオナゴ遊び?しただけ。次の朝はチケット購入、なわけで、俺はここで初めてインド人らしいインド人を撮影しまくれる!と興奮気味だった。




(この子の右手にあるような模様はメインバザールなんかでいくらかお金を出すと描いてもらえる。魔よけかなんかの模様?)

思ったとおり次々に楽しげな写真を収めることができる俺。あの子供はぜひ撮りたい。あのおっさんも撮りたい、となかなか入城することができないでいた。





そうしていると、視界に一度見たら目が離せないでいるような女性を見つけてしまった。



目の覚めるような水色にピンクのラインという涼しげないでたち。しかしそれに負けないくらいすらりと伸びた長い手足に、褐色の肌に輝く爽やかな瞳。高くきれいな鼻梁の線。声をかけて首をかしげながらこちらを見るその動作だけに、ハッと息を呑む。
名前を尋ねる、イッブソン、18歳。恥ずかしそうに彼女は答えた。慌てて写真を撮らせてもらう。


母親と来ていた彼女は再び並んでいた列に戻る。俺はしかし、しばらく彼女から眼が離せないでいた…。







まいった………いたよタナカさん…。ホンマモンのインド美人って奴が。



bに続く。